カプセルホテルみたいな集合住宅

メタボリズムの考え方

どうしても人物像ばかり先行する黒川紀章さんですが、彼の作品について語るとしたら1つのテーマについて考えなくてはならない。それは『メタボリズム』という理論についてだ。これは彼が創りだしたもので、人を始めとした生物が退社を繰り返して成長するのと同時に、都市や建築なども同様に息を吸うように成長し、時代とともに機能的な変容を遂げることこそ、理想的だという。その理論があったからこそ黒川紀章さんの子供、いうなれば黒川建築なる作品たちが生み出されていったのです。

その1つにあげられるのが、現在もきちんと建物として成立している『中銀カプセルタワービル』というものだ。彼のメタボリズムに基いて創りだされた、初期の頃の代表作と言われるほどの建築物となっています。彼のファンならばわざわざ足を運んで見に行ったという人もいるでしょう。高級街として認知されている銀座において圧倒的な建物の個性が売り出されているので、例え黒川さんの作品だと知らなくても思わず目で追ってしまうほど強烈な建物だ。

ではどうしてこんな斬新なモデルになっているのかというと、この建物がどのようなコンセプトで作られているかを紐解くことで知ることが出来ます。

カプセルを取り替えて進化する

日本的に見れば鳥の巣箱、海外の人はドラム式洗濯機といっているらしいが、ともかくそれぞれを乱雑に積み上げたような外観が特徴的な中銀カプセルタワービルですが、これには理由がありました。それはカプセル型の建物をおよそ25年のサイクルで取り換えることで建物が新しく出来る、というのがウリになっているのです。このビルは見ればわかると思いますが、現在も集合住宅として機能している。住んでいる人がどんな人かというと、基本的にはビジネスマンが主流だ。

内部はユニット製になっており、内部はセカンドハウスなどを想定してベッドやエアコン、テレビなどを完備している。その一方で洗濯機などの日常的に使用する家電製品はないため、デイリーで使用するような場所ではない。オフィスとして使ったほうが良いと言われてもいるので、利用の仕方は様々だ。このようなスタイルのため、海外の人達からはここに住んでみたいと希望する声も多いそうで、日本でも地味に人気な賃貸物件なのかもしれません。

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問題発生

ところがだ、人気が高まる中で問題が年々浮かんでくるとともに、ビルそのものを取り壊すべきだといった案まで一時期浮上したほど。現在はどうするべきか方針は定まっていないため何とも言えないが、何かとその後の顛末をいかがするべきかが論争になっているという。具体的な問題としてあげられるのが『建物の老朽化』で、まもなく築40年という時間を考えると補修工事が必要になってくるだろうとは思う。

しかしその問題に拍車をかけるように、この建物はちょっとしたいわくつきの問題点が巣食っていたのです。

アスベスト問題

ビル建設時に、現在は使用禁止されているアスベストが大量に使用されていることが判明し、建て替えをするべきだという意見が2005年か上がったのです。黒川氏はこの意見に対して、住まいとなるカプセルを交換すれば問題は解消できるといったものの、その後所有者たちの意見をまとめていく中で建て替えが決断された。しかしその決断から今まで実行に移してこなかったせいで、建て替えの話は白紙撤回されてしまうのでした。

その後何度か建て替えようという話は出てくるも、建て替えを担当するはずだったゼネコンが倒産するなど、結局宙ぶらりんこのまま現在まで10年近く時間が経過したために、いまだその所在をどうするべきかは定かにされていません。

世界遺産に認定されると

余談だが、建替問題が起こった際に黒川氏は自身の作品を遺したいがために必死になっていたのか、同ビルが『世界遺産』に登録される寸前だといったことを説明していたという。またアスベストによる室内汚染も確認されていないと発言してトラブルを巻き起こした。

それらの噂に対して報道した週刊誌を黒川氏は訴訟したものの、事実としてそう伝えていたと判断できる材料があるとして敗訴してしまいます。その後も諦めきれない黒川氏は控訴しますが、最終的な判決が下される前よりも黒川氏は他界してしまい、彼の死後も主張は認められないとして高等裁判所にすら持ち上げられないまま棄却されてしまった。思い入れがあったのだろうが、問題を抱えたままではどんなに優れた作品でも残しておくことは出来ない。だからといって世界遺産認定寸前、なんてありもしないことをでっち上げる辺り、ここでも人間的な部分がやはり常人とは違うことを思い知らされます。

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現在も結局は

今では黒川氏の遺産として取り壊すべきではないという意見もある。外国人もカプセルホテルを創りだした始祖たる黒川紀章の作品の原点だからか、人気も高く処遇はどうするかは定かではない。カプセルホテルの原点ともいうべき中銀カプセルタワービル、色々といわくつきではあるが作品としてみればアーティスティックな人たちの心をくすぐり続けているようだ。